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イギリスのBrexitブレグジット(EU離脱)の新聞風刺絵
国民投票で世界の見識者をあっと騒がし、その期待を裏切る結果となったBrexit(EU離脱)は結局EU(European Union 欧州連合)に対して脱退の日にちの引き延ばしとEUへの一時的な保留を懇願する状況下にあり、メイ首相は大変難しい状況に追い込まれています。そこでメイ首相をやり玉に挙げる形になる毎日主要の駅で無料配布されるEveningStandard紙(イブニングスタンダード紙)の政治の風刺絵(ふうしえ)が最近とても面白いのです。普段はそうでもないのですが、どうやらイギリス人は皮肉な笑いをお国芸とし、政治家の一挙手一投足(いっきょいっとうそく)を揶揄(やゆ)して皮肉る芸当はお見事です。今この政治的に皮肉な状況下で描かれる政治風刺画の軽快な笑いを毎日楽しみにしています。
どうなれば正解かなんて神のみぞ知る…God save our Queen!
(神よ、我らが女王陛下を守り給えーあまりに驚いた状況で感嘆を現わす表現)
時代の進みの速さは留まるところを知らず、子供のころからスマホ(SmartPhoneスマートフォン)を知っている子供たちを尻目にビデオではベータ、VHS, DVD’s📀 そしてBlu-rayブルーレイ、コンピュータでは💾フロッピーディスクからUSBスティックなどなど、すべての進化にすべて対応してきた年代には新しい進化が世の中にもたらされる度にまたこう叫んで、そしてまた初めから学びなおすしかないのです。こんなに日進月歩が甚だしい時代に生まれ落ちた宿命、柔軟に対処して行くしかありません。私が80歳のおばあちゃんになった時にはおじいちゃんがイケメンなアンドロイドかもしれないですね。
無料新聞が1000円以上になるからくり
主要各国も同様な事態が起きていると思いますが、若者の新聞、テレビ離れにより、かつては有名紙のEveningStandard紙(イブニングスタンダード紙)も経営不振から今では無料新聞となりました。買ってもらう新聞から広告収入で発行される新聞へと転換を図ったのはもうすでに10年以上前になります。昔はMetro(メトロ)と呼ばれる地下鉄限定の無料紙だったのですが、今ではEveningStandard紙がとって代わりました。余談ですが、イギリスで楽天ショップのような大きなショッピングサイトであるE-bay(イーベイ、日本のQ10は実はイーベイ日本版で同じ会社です)でイギリスの女子高生がアメリカや世界の新聞紙マニアにこの無料紙を売って儲けたという話が昔ありました。目の付け所がある女子高生ですね。誰かの不用品は誰かの宝です。ただイギリスの郵便事情ですが、高い割りに紛失も多いので郵便料金だけでも1000円を軽く超え、郵送費は重さ重視の国なので新聞を送るのはかなり高額なります。それでも手に入れてみたい富裕階級のセレブなあなた、ぜひお声を掛けてください。なーんてね。くすっ。
No Brexit? No Deal Brexit? Hard Brexit?
No Brexit(ノーブレグジット)とは 国民投票を白紙に戻してEU欧州連合に残留、残ることです。
No Deal Brexit(ノーディールブレグジット)とは合意なき欧州連合からの離脱のことです。
Hard Brexit(ハードブレグジット)とは強硬な欧州連合からの離脱です。
昭和🐧さん:
イギリスでは発音的にはブレグジットより、ブレギジットだけど、ネット上ではブレグジットとなっているので統一しますね。
国民投票時にはほとんどの人がVoteOut(離脱すること、離脱に投票すること)になるとは予想していなかったのです。首都である人種のるつぼのロンドンでは離脱に投票した人数も予想通り過半数以下だったのですが、地方都市では大勢の難民申請者や東ヨーロッパからの移民が増え続け、これ以上の移民は不必要と考える人々が過半数以上でVotedOutした形になりました。ここでもアメリカ同様に移民受け入れに寛容でないイギリス国民は自分たちを守れと怒っていました。結局蓋を開けたら”離脱”という結果になったのです。まさか国民が離脱に投票するとは思ってもみなかった当時のDavid Cameron(デイビッド キャメロン)首相率いる労働党は惨敗し、離脱を望んでいた保守党が政権を握ります。新しいPrime Minister(首相)であるTheresa May(テレサ メイ)女史は国民の絶対的な支持を得て’Hard Brexit(ハードブレグジット)とは強硬な欧州連合からの離脱’の旗を掲げます。まぁそこまでは良かったのです。国民もいい選択をしたと、この国はもっと移民ではなく自分たち国民の方を向いたいい国になるに違いないと希望に打ち震えていたのですから。これは私の個人的な意見ですが、労働党の敗因はズバリ説明不足です。保守党が移民に対して良く感じていない層を煽り、不満を離脱へ促す手法を使ったAlexander Boris de Pfeffel Johnson(ボリス ジョンソン前ロンドン市長)に対し、欧州から離脱したらどうなるのかのデメリットを国民に明確に伝えることを怠った労働党、幹部はそんなこと、困ることは国民も周知の事実と高を括たかをくく)っていたのです。そんなこと知らない国民は離脱に投票した喜びに酔い、離脱したら失ってしまう多くのことに後になって気が付かされます。ここでもまたアメリカ同様に、’America First'(アメリカを第一に)ならぬ’England First'(イギリスを第一に)的に欧州連合からEU離脱してまたイギリスが関税自主権など経済をイギリス本国のみで回復させ、自主権を取り戻す考えで動かされようとしていました。が、実際的にはイギリスが他の国々と自由に関税自主権を発揮しようと思っても、欧州連合EUとの関税同盟は加盟国のEUで決定されイギリス一国だけでは決められないことの方が多く、逆にむしろイギリスの自主権自体が制限を受ける結果となり、少しずつ雲行きが怪しくなって参ります。
北アイルランドとの繊細かつ微妙な間柄
あまり記憶に残っていないかもしれませんが、1960年代から1990年代に掛けて北アイルランドでは継続的に紛争が続いていました。IRAなどのテロ攻撃など、シリアスな紛争でした。もともとキリスト教徒が多く居住していた北アイルランドとアイルランドはカトリック系住民とプロテスタント系住民がアイルランドと北アイルランドのあいだに国境を作るなどして紛争を起こしました。のちにEUの前身となるEEC(European Economic Community欧州経済共同体)は、1957年に設立されます。イギリスはEECには参加せず、独自の自由貿易連合であるEFTA(European Free Trade Association 欧州経済協力機構)を作り対抗しますが、その後輸入超過により経済不振に陥ります。歴史上犬猿の仲であるフランスにEEC加盟を2回も拒否されましたが、1973年にEC (ヨーロッパ共同体)に加盟します。このヨーロッパとの経済的な関りにより自由に物品や人々が行き来することで緊張下にあった北アイルランド国境管理が次第に緩和され紛争は下火になっていきました。そのご1998年に和平合意が結ばれました。今回のEU離脱の国民投票でアイルランドは過半数以上が離脱に反対であったため、イギリスが離脱をすればまた紛争が再燃するのではないか、またEUに残留を希望し、イギリスから独立してアイルランドを統一したいカトリック系住民とイギリスに残留したいプロテスタント系の住民との確執が浮上するのではないかと懸念されています。
Christian Adams(クリスチャン アダムス)の面白政治風刺画
さて昨日の風刺画はメイ英国首相が簡易的なパイプ椅子に座り、頭をうなだれて何やら考えている画が書かれている有名なテレビ番組’Who want to be a millionaire?’ (1億円チャレンジクイズ)のパロディです。そしてメイ首相がボソッと’会場に居る国民にはいまさら聞けないわね...’と呟いて、ため息をついているんです。大勢の観客を前にショ-のMCが声高々に
’さてイギリスの歴代の首相の中で首相という役職を全く遂行しなかった首相は誰?’
とメイ首相に質問します。
さてファイナルアンサーは?
メイ首相: ”観客(会場に居る国民)にはいまさら聞けないわね”
メイ首相が思い悩む風刺画の下にA,B,C,Dの4つの答えが並びます。
A テレサ メイ首相
B テレサ メイ首相
C テレサ メイ首相
Ⅾ テレサ メイ首相
MC司会者:”ファイナルアンサーは?”
そう、もちろん、A~Ⅾすべての答えが’メイ首相’です!
まとめと🐧おまけ
2019年4月11日のEU首脳会議でドイツのメルクル首相の助け舟もあり、期限だった4月12日から10月31日までの延長が承認され、合意なき離脱はひとまず回避出来ました。よく11月1日にはEUの選挙があることを考慮すると、これは最期のデッドラインとなるでしょう。EUヨーロッパ連合も幾度となくEU離脱の期限の延期を迫るイギリスに対し、もうこれ以上イギリスに振り回されたくないこと、そのためにEU内で進めなければならないことや改革が遅延してしまうことを快く感じてはいませんが、EU欧州連合理事会常任議長であるトィスク氏がイギリスの抱える大問題の一つであるこのアイルランド問題を考慮して延期を現実化させたといいます。
最初は3月29日、そして4月11日、はたまた10月31日とただ延期を先延ばししたままで何も解決には至っていないメイ首相のイギリス政府です。
昭和🐧さん:
このイブニングスタンダード紙の政治風刺画はChristian Adams(クリスチャン アダムス氏によって描かれたもので彼のインスタグラム@adamstoonをフォローして見ることが出来ますよ。また直接イブニングスタンダード紙の公式ウェブサイトでも180以上の最新の政治的な風刺画が閲覧できます。面白いですよ。肖像権の問題で下手な絵を描いて申し訳なさ過ぎるので実際の素敵な画を是非ご覧下さいね。
https://www.standard.co.uk/news/london/the-evening-standard-political-cartoon-by-christian-adams-a3530851.html
メイ首相の所属する保守党まで内部分裂して大差で否決に終わり、まさかの野党に自分のクビ(=自分の進退)を賭けて助けを求めるという前代未聞の勝負にまで出てさえも再度否決されたメイ首相、思えば国民投票後の解散、総選挙(勢いに乗ってもっと議席が増やせると思ったら逆に議席を失う羽目になった)といい、することすべてが裏目に出てまさに崖っぷちです。離脱をしてもEU関税同盟には留まることが絶対条件で緩やかな離脱を考えている労働党、この野党とどう強調し、協力してメイ首相が考える円滑で秩序ある離脱を可決にまで持って行くのか、10月31日までに議会の承認、可決が得られなければ国民投票の可能性もまだ残ります。この四面楚歌(しめんそか 周りは敵だらけ)の、歴史的に見ても異例の状況下でメイ首相の持ち時間は刻々と過ぎ去り、あと半年を切っています。
こんな時イギリス人はこう言います。”Good Luck, (cause) you need it.”(幸運を、今のあなたの状況では必要なものだから…まぁ頑張ってねとしか言いようがない)だからGood Luck!!
🐧おまけ
’イギリス国民よ、一体どうしたいの?’と誰に聞いてもわからない人が多いのが現状ですね。人間一番怖いのは”わからない”恐怖、そのためにいろんなデマも廻っていますよ。例えばここ半年ほど、離脱すると薬(市販薬ではなく、処方箋薬)が足りなくなるといううわさ、不安になった人々が買い溜めを推奨したりしてプチパニックに。NHS(NationalHealthService‐日本で言う国民保険的なもの、診療や医療は基本無料です)が薬が不足することはありませんと広報したくらいでしたよ。
オイルショックの時に日本人がトイレットペーパーを買い溜めしたように、ヨーロッパから購入していたサプリメントやその他の商品も関税が掛かる可能性を見越して半年分くらい爆買いしていた人も周りには実際にいましたよ。情報やうわさに振り回されないように、確認しましょうね。
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