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みんなで難民問題を考える-高校生による中高生のための講演会
開成高校K-Diffusionorsの大人も考えさせられる活動理念とは?
開成高校K-Diffusionorsと国際協力NGO WorldVisionJapan
ワールドビジョンジャパン
2019年4月7日(日)に開成高校K-Diffusionors(”未来を担う一人一人が当事者に”を活動理念とする18名の現役高校生によるグループ)と国際協力NGOワールドビジョンジャパンによる特別講演、”開成高校K-Diffusionors x 国際協力NGOワールドビジョンジャパン/特別後援会K-D TOKYO2019-難民問題は、じぶんごと?”が開催され大きな話題となっています。高校生による、同じ10代の中高生のための難民問題を考える講演会でした。中高生300名を対象に多くの会社が共催支援したことで無料での開催になりました。「他人事」をすこし「じぶんごと」に、同じ10代が陥っている難民問題を対岸の火事(他人事を傍観する)にしない、同じ10代だからこそ伝わることがあるをモットーに10代の今から世界へビジョン(視野)を向ける目を養う大切さを伝えます。この講演会では元国連WFPアジア地域局長の忍足鎌朗さんによるスピーチや世界情勢や政治経済解説のうまさでは業界一の池上彰さんによるビデオメッセージまであり大いに盛り上がりました。ワークショップとして参加型のオープンディスカッション、実際に現地ウガンダへ飛んだ渡航者による現地での体験トークセッションや現地難民居住者とのインタビュービデオ映像を交え4時間ほどの講演会で参加した多くの10代の中高校生たちは平和な国日本では感じることが容易ではない、ややもすれば対岸の火事であり続けるこの難民問題に触れることでき少なからずも興味深々のようでした。。
昨年2018年の国際協力NGOワールドビジョンジャパンによる”未来ドラフト2018”に参加後、翌2019年3月14日には実際にK-Diffusionorsの18名のメンバーのうち5名が難民居住地であるウガンダのビディビディ難民居住地を訪問し、現地で10代の難民たちをと交流し、インタビューをしました。実際にインタビューの内容を撮ったビデオを拝見しましたが、インタビュアーの高校生の英語は素晴らしいものでしたし、おのおの自らの難民生活や紛争中に失った家族の話を淡々とする同じ10代の難民の子供たちにショックを感じつつも立派にインタビューを遂行する姿はあっぱれでした。
平成🦆ダックくん:
ぼくもK-Diffusionorsの行動をニュースで見てからいろいろ調べてインタビュー動画を見たけど、同じ10代の子供が一瞬で両親が死ぬのを目の当たりにするなんてどんなにトラウマ(こころの傷)になるか、予想さえ不可能な紛争という大きな暴力的な脅威に晒されている日常生活や、現実としての難民キャンプ生活。。。ぞっとしたよ。もちろん毎日どこかで、今も世界のどこかで紛争は続いているし、紛争による難民は大勢いることは情報として知っていたけど、やっぱり対岸の火事だったかも知れないってちょっと反省、考えさせられたよ。ぼくと同じ10代の高校生が何か出来ないかって行動に移したということがスゴイと思ったし、一人一人がこうして”知る”こと、そして”考える”ことの重要性が伝わったと思う。ぼくも氾濫し過ぎている最近の情報過多の社会の中で、ぼくにとって”大事”だと思うことをきちんと”伝える”ことをしたいなと思ったよ。
ちなみに’Diffusionors’の’Diffusion’は拡散、’Diffusionors’で拡散する者たち’って意味かな。日本には古来から戦争や自然災害を風化させないために後世に語り継ぐ、’語り部’がいるけど、それの現代的な感じかな。笑っちゃうけど、小学生の時初めて訪れた広島の原爆ドームで’語り部’のおじいさんから当時のひどい体験を聞いた時は’ぼくは将来、語り部(かたりべ)になろう’って思ったくらいショッキングな体験だったよ。
世界難民の日(World Refugee Day) 6月20日
日本は1981年に難民条約に加入しています。その難民条約の定義から
人種、宗教、国籍、政治的意見やまたは特定な社会集団に属するなどの理由で、自国に居ると迫害を受けるかあるいは迫害を受ける恐れがあるために他国に逃れた人々 (難民の地位に関する条約の抜粋/ Convention Relating to the Status of Refugees 難民条約より参考)
とされています。なんとも難しい文言が綴られていますが、噛み砕くと世界中に難民は存在し、その各紛争などによる一方的な暴力や人権蹂躙などから家族及び自らの命や人間として最低限の生活を得る権利を守るためにおのおのの故郷、母国を離れ、避難生活を余儀なくされた人々の事を総称して”難民”と定義され世界中におよそ1,600万人もいます。東京都でおよそ1,388万人、福岡市でおよそ1,589万人ですからどれだけ大勢の人々が日々安全に自分の母国に住めない状況下にあるかということです。
簡単なまとめをすると現在一番多いのは緊張した紛争が続くシリアがおよそ490万人、アフガニスタンが270万人、ソマリアが110万人、その他が470万人です。
うち難民の受け入れに積極的なのはトルコ250万人、パキスタン160万人、レバノン110万人ですが、これは難民が着の身着のままの状況で母国の近隣諸国へ逃げるためでもあります。ほとんどの難民が’国内難民’と呼ばれる国外への避難も困難で国内で継続的に避難中で、その数は全体の86%にも及ぶと言われています。年老いた両親や多くの幼子や砲撃によって健康の状態が著しく悪い、深手の怪我を負って障害があったり、四肢が動かせないなどの家族にいるために国外逃亡が不可能な人々が多いのです。今ではおよそ6530万人の難民が開発途上国での貧困に喘ぐ難しい状況下での避難生活を余儀なくされています。
日本の難民受け入れは1981年に国際的な責務としての難民保護のため難民条約に加入しましたが、実際の難民受け入れはもっと古く、歴史的に’ボートピープル’と言われる難民を受け入れては来ましたが、先進国の中ではかなり低い水準の受け入れ状態です。2016年度の統計では世界79か国、1万910人の難民申請の中で日本国が認定した難民認定率は28人と先進国全体の約0.25%でしかありません。またこの同時期、タイの難民キャンプからミャンマー(以前のビルマ)からの難民、31家族123人のみを’第三国定住制度’認定により受け入れました。国際的に窮地に立った日本政府はシリアでの危機的人道保護への国際的な協力対応策として2017年から5年間で300人の受け入れの方針を検討しました。先進国の中では最も難民保護に寛容でない先進国というレッテルを海外では貼られ、日本は先進国各国から難民受け入れに対する課題を長年明示されています。
難民支援協会チャリティーラン&ウォーク DAN DAN RUN 2019 令和元年5月12日
来る2019年令和元年5月12日には難民支援協会(JAR‐(Japan Association for Refugees)主催のチャリティーラン&ウォーク DAN DAN RUN 2019が開催されます。’あなたの走り、歩きで難民に力を、日本での新たな一歩をみんなで支えよう!’と主旨に今年で6回目の開催になるそうです。去年はボランティアも含めて約280名が参加しました。本年度は皇居でのラン&ウォーク(走り&歩き)のほかに日比谷公園での楽しいイベントも企画されているそうですので興味がある方は是非足をお運びになってはいかがでしょうか。故郷から生きるために日本へ助けを求め、逃げて来た難民の方々や第三国定住制度により難民申請中の方々が日本でどのような待遇を受けているのかなどの事実を”知る”きっかけになるかも知れません。
詳細チラシ https://www.refugee.or.jp/event/postfile/DanDanRun2019.pdf
難民支援協会 JAR(Japan Association for Refugees)https://www.refugee.or.jp/jar/
日本の難民保護に対する海外の反応
昭和🐧さん:
悲しくて恥ずかしくて口にするのもおこがましいのですが、海外での日本の難民に対する保護は先進諸国の中で最低レベルなの。日本国内でテレビやニュースで報道されることがほぼないけれど、海外のメディアや国連からはかなり辛辣な報道がされてるの。国連が考える女性蔑視や女性差別でも日本は先進諸国の中で最下位なの。らい予防法(らいとはハンセン病のこと、ハンセン病患者を家族や社会から予防という名のもとに隔離、収容した法律)や日本へ逃げて来た難民の隔離、強制収容など非人道的で人権無視も甚だしい境遇のまま、まだ何も改善されずに隔離、強制収容が今も横行していることも是非Diffuse(拡散する)して多くの人に”知ってもらって、一人一人が考えて欲しい”と思います。
難民条約や第三国定住制度、同じ先進国イギリスではどう扱われてる?
人権の国、イギリスでは難民の方々や難民申請中の方々はイギリス国民と同様の人権が守られるべきだと考えられており、入管法でも適用されています。現実的に紛争や紛争などにより、人として迫害の危機にある人々が命からがら着の身着のままで故郷から、母国から家や勤め、学校、普通の平和な日常生活をすべて捨てて逃げて来た、こころに多くの悲しみや苦しみや痛み、そしてトラウマをすでに受けている人々に対して日本政府は刑務所のような収容所に強制収容し、日本社会から隔離します。同じ人間なのに病気になっても医者から診断も受けられず、薬なども処方されません。しかも家族の難民は大人と子供に引き離されて収容されます。
元小泉内閣の時代に7000人にも上る被害者を生み出した、人権無視の悪法として名高い、”らい予防法”(らいとはハンセン病のこと)の改正に、被害者たちが国を相手に訴訟を起こしました。1960年、昭和35年にはすでにハンセン病の治療が確立され、治療に有効な薬さえ存在したため、患者の隔離収容の必要がなくなったにも関わらず、1953年8月15日に交付以降、ハンセン病患者を社会や家族から強制的に隔離、収容を1996年、平成8年4月1日の’らい予防法廃止’までなんと43年も続けた人権侵害、人権蹂躙ともいえる行為でした。あれから23年も経つ現代の日本でまだ同じように日本に居る難民が隔離、強制収容されています。再々国連から注意が促されますが、一向に”同じ一人のひととして”の難民への待遇は改善されていないのが悲しい現状です。K-Diffusionorsが渡航し、体験した非先進国のウガンダでさえ、難民の子供たちは自由にお日様の下でインタビューを受けていましたが、日本に居る難民は日本社会から隔離され、入管の職員以外の外の世界から、しかも収容所の屋外で陽にあたり、空を見上げることすら出来ない生活を強いられています。日本政府はいつになったら先進国や世界に通じる”人権を守る”という行為を学ぶことが出来るのでしょうか。灯台下暗しとは言いますが、もっと多くの日本人にきちんと知ってもらいたい基本の人権問題です。
平成🦆ダックくん:
なんかすごくショック。。。言葉もない。。。ぼく友達にも話して’語り部’に成ってDiffuse(拡散する)するよ。まず身近な友達にも知ってもらいたい。
世界水準のまことの人権擁護とは
イギリスでは難民としての申請中は将来的に難民の立場から普通の社会の一員に迎え入れられた際すぐに適応出来るよう英語を学んだり、コンピュータースキルを学んだりすることが出来ます。SNSさえ出来ますし、隔離、収容されていないので買い物をしたり、食事をしたり、外の社会と接することも出来ます。もちろん陽に当たり、青く続く空を見上げることも自由に出来ます。その際に少額ではありますが一日に使えるお金も支給されます。また人道的処置として病院や診療などもイギリス国民と同様に無料で受けられます。イギリスが良くて日本がダメだと言っているわけではないのです。”知らない”でいることが多くの被害者が人権を侵害され続け、時に誰にも知られないまま歴史に葬り去られることがあるかも知れないということです。
まとめと🦆おまけ
日本には緊急時に命を晒された迫害に屈せず、人権擁護を続けた偉人、’杉浦千畝’さんがいます。われわれ人間のこころの中には彼が理解した人権擁護の心魂があるはずだと思うのです。あの第二次世界大戦中のユダヤ人に対するホロコーストと呼ばれる迫害の中で人種の違いや祖国の違いを超えて、互いの国という概念を取り払って、迫害の危機下にあったユダヤ避難民を多くの国の外交官たちが自分の立場を窮地に追い込むことになろうとも通過ビザなどを発行することで難民に人道的処置を施しました。困っている人が居れば助ける、それが人道-人の道であると考え、その状況を”知る”ことで”一人一人が当事者になり、その精神性の気高さに目覚め、”他人事”ではなく、”じぶんごと”として、世界の中の”ひとり”としてのビジョンを持ち、自分も誰かのために何かしてあげられる、行動できる人間の”ひとり”であることに気づいてほしいです。
🦆おまけ
ぼくは語り部として大好きな相田みつおさんの詩「わけ合えば」をシェアします。
とても有名な詩なので知っている人も多いと思いますがぼくの大好きな詩です。
「わけ合えば」
うばい合えば足りぬ 分け合えばあまる
うばい合えばあらそい 分け合えばやすらぎ
うばい合えばにくしみ 分け合えば喜び
うばい合えば不満 分け合えば感謝うばい合えば戦争 分け合えば平和
うばい合えば地獄 分け合えば極楽うばい合うと 足らないけれど
分け合うと あまっちゃうんだなぁ詩人相田みつおさんの詩集より
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